もしも街頭インタビューなどで

「あなたは、どんな偏見を持っていますか?」と質問されたら、

何と答えるでしょうか。

 

「別に無いです」

「何かあるかなぁ」

 

何かに対して偏見がありますなど明確に答えられる人は滅多におらず、

殆どの人は上記のように答えるのではないでしょうか。

 

そうです。

偏見は無意識の中にあるんです。

偏見とは、偏ったものの見方や考え方のこと。

「思い込み」「決め付け」です。

だから誰もが、自分は偏見の無い人間だと思いながら生活していると思います。

 

赤ちゃんの頃は勿論、偏見などは持っていません。

人を見た目や性別、貧乏かお金持ちかなどを気にすることもありません。

しかし、成長と共に目の前のお友だちと比べ、

身近な周りの人々との「違い」を気付くようになっていきます。

 

この時、周りの人、つまり両親や兄弟姉妹、祖父母などが

それらの「違い」をどう捉えているかによって、

子どもの価値観に影響を与え、ともすれば偏見や差別意識を

植え付けることとなるのです。

 

例えば、

・男の子は泣いてはいけない、ピンク色なんて着たら変だ、手芸が好きなんて変だ

・女の子なんだから家の手伝いをしなきゃいけない、男の子と遊ばないで女の子同士で仲良く遊びなさい、女の子なんだから優しくして

・〇〇国より〇〇国の方が教育水準が高くて優秀だ

・有色人種には粗暴な人が多いから気を付けなければいけない

 

といった言動や雰囲気の中で育つことにより、

その子にとっては、その偏った見方が当たり前のこととなるでしょう。

 

偏見など持たない方が良いのは今さら言うまでもないことですが、

これまで以上にその弊害を憂慮すべきだと思います。

なぜなら今は、ITや交通技術の進歩が著しい中、世界が近くなっています。

小さくなっていると言えるかもしれません。

物理的な距離はあっても垣根はとても低くなっているから、これからの子ども達は、

今までよりずっと世界を身近に感じながら生きていくことになるでしょう。

 

そう遠くない将来、今の平均的な日本人よりも

軽々と国境を越えて世界が活躍の場となるはずです。

そうして、異なる文化や価値感を持つ人々と、バーチャルでもリアルでも、

混ぜこぜになって暮らすのだろうと思います。

 

小さくなった世界では、

日本の問題は世界の問題であり、

世界の問題は日本の問題となります。

 

環境や食料

ウイルス問題

 

今や世界を挙げて手を取り合い、

力を合わせ解決しなければならない問題が山積みです。

こうした中、偏見や差別意識を持つ大人に育つことは、

子どもにとって大きなハンディになることを分かっていただけるでしょうか。

 

偏見や決めつけは、日常生活にあふれています。

今一度、自分は偏見などないと思うのではなく、

どんな偏見を持っているか見つけ出し、

そこから抜け出すために工夫することが大切ではないでしょうか。

 

執筆者プロフィール

廣川 衣恵(ひろかわ きぬえ)

教育大学岩見沢校非常勤講師(人権教育・男女共同参画社会担当)
互いの個性や多様性を認め合い、誰もが生きがいと誇りを持ち自分らしく生き切ることができる日本を創ろうと起業準備中

廣川 衣恵のプロフィール

北海道札幌市生まれ。

4歳からピアノを習い、高校2年生から浜松の伯父宅に寄宿し、東京の音大教授に師事するも親の都合により進学が叶わず18歳の春に泣く。

2年ほど自宅でピアノ教室を主宰するが、元々、母の希望で習っていたピアノ。音大も出ていない自分が教えていていいのかという葛藤と将来の展望が描けず就職活動を開始。

しかし、新卒者ではない私に社会は厳しかった!
面接に行く度「もう、お嫁にいきなさい」などと断られ続け「私は社会で必要とされていない」と感じてとても悲しかった20歳春の涙。

モデルクラブに所属してアルバイトをしながら、悩みに悩んで公務員試験にたどり着き、
どこかで必ず誰かのお役に立つ仕事だと信じ昭和54年札幌市職員として働き始めます。高校卒業から3年、21歳春やっと自立の途。

28歳で結婚、不妊治療の甲斐あって、やっと31歳で長男を33歳で次男、36歳で三男を出産。育児休業制度がない時代、産前産後8週で仕事に復帰して仕事と子育ての両立に必死。まさに髪振り乱しての10年間。

息子たちが将来、掃除や洗濯、料理のために結婚相手を選んでほしくないと思い、三男の入学を機に重点を仕事にシフトチェンジ、45歳でやっと係長試験に合格。

子育てで培った時間管理、優先順位をつける、切り替え能力、マルチタスク処理能力などを活かしゼロイチの仕事をたくさんさせてもらいました。

私は、たくさん失敗をしてきて、失敗したらどうしようという怖れがないことが良かったと思っています。

東日本大震災の時には、企業から寄付を集めて福島の子どもたちのための保養所を作ったり、早々に脱原発を掲げた姉妹都市のミュンヘン市から寄付を募るため市民団体に随行してドイツ講演会を開催したり、最後は政令市初となる性的マイノリティのためのパートナーシップ宣誓制度の策定までしたいと思う仕事をさせてもらうことができて幸せでした。

定年後、認定こども園の園長を3年ほど経験させていただきながら多様性が尊重される共生社会の実現を目指して講演活動や研修を行ってきましたが、2021年秋よりフリーランスとなりました。

活動の原点となるのは、私自身のマイノリティ体験。ある時、上司に「3人子どもがいるということは、あなたは、それだけ働いてこなかったということだ」「同じ年数を働いてきた男性と比べて明らかに劣る」と配属された初日に言われ、大変ショックでした。

組織の中の多様性とは、結婚している男性を標準とするのではなく、違いのある人たちがいるって認め合うことだと思います。

夢は、孫世代(現在、4歳~0歳まで5人の孫がいます)が大人になった時、誰もが安心して自分らしく働ける愛ある職場を創りたい!

そして、子どもも大人も自由に夢を語る日本にしたい!そう思って活動しています。

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